北米価格推移の中期予想について

2021年3月24日

資材部にて今後の価格変動要素を調査し、一部外部資料を参考の上、今後の現地価格がどのように推移するかを下記のように纏めました。

1.米国着工棟数推移

2015年は111万戸、2020年は138万戸、2021年は申請ベースで188万戸の着工予定。2015年比で170%の着工ペースが予定されている。 米国は移民政策での人口増加による慢性的な住宅需要があり、下記の歴史的な低金利がより受託投資を活発化させている。今後も低金利政策が持続するならば着工数は150万戸前後で推移する可能性が大きい。

2.米国住宅ローン金利推移

コロナ以前の住宅ローンは4~4.5%で推移していたが、米国はコロナ対策として金利を下げたことにより、現在は2.78%と3%を割り込む(戦後初)。これにより、30年ローン概算で1,000~1,200万円の金利負担が削減される。(木材値上分を吸収)
現時点でFRBは低金利政策を2023年末までは継続する方針を出している。

3.現地製材能力の低下と原木価格

北米(特にカナダ)の製材工場閉鎖/減産体制は著しく、BC州、アルバータ―州の総生産能力4,000万㎥/年、の内400万㎥/年(約10%)の生産能力が2019年に失われている。
コロナ禍で製材所の生産能力が低下した昨年の夏から、急激な木材需要が発生、木材価格が急騰している。カナダの原木価格は木材(製品)の販売価格により決められるため、後追いで原木価格も上昇する。木材の需要と供給のバランスが緊迫している間は、価格も現在の価格で推移する可能性がある。

4.在来工法、欧州材への影響

既に欧州材の値上は進み、在来用の材料も上昇している。但し欧州材は航路が長い面も含め、日本での出荷ベースでは3か月遅れで反映していく。現状は2×4の北米材が突出しているが、いずれ全体の値上がりで収束する。

総括

米国の住宅マーケットの好調は短期的でなく当面は継続する。よって北米価格は今後も上昇する可能性もあり、下落に転じても1年前の価格まで戻ることは考えにくい。但し、タイムラグはあるが、最終的には他産地、他工法まで波及する。今後も材料不足は当分続く。

                                      以上